『青い鳥の群れ/靴』ぶじに幕を閉じました。観に来ていただいたみなさま、応援していただいたみなさま、ほんとうにありがとうございました。
この公演は三年前に上演された戯曲の再演でした。
初演のときにやり残したことが、置き去りにした思いが、だんだんと膨らみ、大きくなり、やがてそれじたいで動きだし、今回の再演を迎えることになりました。僕ら自身の意志を少しばかり超えたところで、『青い鳥の群れ/靴』というこの物語じたいが座組を引き寄せ、劇場を選び、しかるべき時を見定めたような気がします。そのような作品のあることは、カンパニーにとって、もしくはひとりの演劇を創る者にとって、とても幸福なことです。
それは「家/ホーム」と「ことば」をめぐる物語でした。
僕の使うことばと、あなたの使うことばと、あなたの友人の使うことばと、あなたの家族の使うことばと、あなたの恋人の使うことばはすべてみな違っていて、ことばとことばが奇跡のように合致することもあれば、どうしても相容れないことだってあります。あるいはお互いに時間をかけて浸食し合いついには岸辺の地形を変えることも、しかしかみ合わないギザギザの衝突に擦り切れるような痛みを抱えるはめになることも、やがて磨耗してのっぺりとした目鼻のないことばだけを手に疲れはててしまうことも、当然あるのだろうと思います。
分断され、粉々に砕けた世界を、その中に身を置き生じるあらゆる不条理を、いまここに生きることのわけのわからなさを、世界がそうであることを、ぎりぎりと痛む傷を、それでも祝福するための試みとして、『青い鳥の群れ/靴』はありました。
自分で言うと馬鹿みたいだけどさ。
うまく靴を履けていたらよいのですが。
また必要な時を経て、どうかあなたとめぐり会えますように。
ともにたたかった仲間たちも、それぞれの次へ向かってゆるやかに駈けています。
長い長い旅の続きがはじまります。
820製作所/波田野淳紘
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